相続は準備が大切
相続はお金持ちだけの問題で、うちはほとんど財産が無いから関係ない。
親戚との関係も良好だから、揉める事はない。
ほとんどの方は、このように思っていることと思います。
そして、ほとんどの方は、何も準備をしていないことと思います。
特に、人生100年時代といわれている現在は、70代、80代でもまだまだ元気な方も多く、自分の相続手続きというものをまだ考えられないのではないでしょうか?
実際、私の両親も妻の両親も70代後半ですが、いずれも元気で、まだまだだいぶ先のことのように考えてしまいます。
しかし、相続は突然起こりうるものです。
法律事務所では、たくさんの相続問題に触れる機会がありますが、急な病気や事故で突然相続が発生したものも少なくありません。
そして、相続が発生すると、期限内に様々な手続きをする必要があり、多少なりとも混乱が生じるものです。(詳細については、以前「相続は身近な問題」の記事でご紹介しておりますので、ご参照ください。)
その中でも、相続人の確定や相続財産の調査には手間も時間もかかったり、遺産の分け方については特に揉めたりすることが多くなりますので、事前に意識して準備しておくことが大切です。
相続される側の準備が整っていると、相続する側はとても助かりますので、相続される側が自分が亡くなった場合にどうなるのが理想か、どうすれば相続人間で揉めずにすむか、事前に考えておくことが必要だと思います。
相続される側は何をどのように準備するか?
では、相続される側の方は、何をどのように準備すればよいでしょうか?
それは、相続発生後の手続きに沿って考えていけばよいかと思います。
相続人の確定
まずは、相続人を確定させる必要があります。
自分が亡くなった場合、誰が相続人になり、それぞれ相続分はどうなるか把握されておりますか?
配偶者と子供だけとか、親だけとかであれば簡単なのですが、過去に離婚歴ありその時の子がいる場合や、養子縁組、認知等したことがある場合は、複雑になり調査に時間がかかることになります。事前に戸籍等を集めて、自分の相続人を把握しておきましょう。
相続財産の確定
どのような財産が、どれくらいあるか。これもまとめておくと、相続する側は非常に助かります。
相続実務の中では、この相続財産の調査が一番骨の折れる作業であり、専門家でも調査するのに時間がかかります。
預金通帳や保険証券、不動産の権利証、保有している有価証券等をまとめたり、負債があれば、どこから何をいくら借りているか、簡単なものでもよいので、財産目録のような一覧を作成しておくと便利です。
相続税を考える
相続財産が多いと、相続税がかかる場合があります。
相続税には基礎控除があったり、相続する人や財産によって減税制度等があり、ほとんどの方は相続税がかからないと思いますが、どのような財産があるか把握して税理士等に相談しておくことも必要かと思います。
財産を分ける
相続人間で一番揉めるのは、どのように財産を分けるかという部分です。
法定相続分通りで不満が無ければよいのですが、同居して面倒を見ていたとか、いろいろと費用を出してもらっただろうとか、様々な不満が出てくることも少なくありません。
相続人間で揉めないように、遺言書を作成しておくことも効果があると思います。
自分の財産ですから、自分が誰にどのように分けたいか、自分の意志で分けるべきものであるとも言えます。
ただ、遺言書も作成方法を間違えると効果がありませんので、できれば公正証書遺言を作成することをお勧めします。
相続という手続きは、相続される側は亡くなってしまうので直接手続きに係ることはできません。
でも、事前に準備をしていれば、自分の財産の処分について意思表示をすることはできます。
自分の家族が、醜い『争族』で壊れないように、今のうちにできる準備を進めておきましょう。