【要チェック】相続放棄すると「空き家」となっている実家はどうなる?

【要チェック】相続放棄すると「空き家」となっている実家はどうなる?

親が亡くなり相続が発生したけど、親に借金があった場合や、実家に住む予定もなく管理費用が負担になるため取得したくないという場合は、家庭裁判所において「相続放棄」の手続をとることにより、相続しないですむことになります。

「相続放棄」の手続は、自分が相続人であることを知ってから3か月以内に、亡くなった人(被相続人)との関係が分かる戸籍等を添付して、家庭裁判所に相続放棄申述書を提出するだけで、簡単にできてしまいます。

(相続放棄申述書の書式は↓こちらです。)

http://www.courts.go.jp/saiban/syosiki_kazisinpan/syosiki_01_13/

「相続放棄」をすると、もともと相続人ではなかったことになるので、相続財産について何ら責任を負わなくなります。

他に相続人がいれば、その相続人が相続して管理することになりますが、相続人全員が相続放棄した場合は、その管理がどうなるのかが問題となってきます。

相続人全員が相続放棄した場合の管理

相続人全員が相続放棄した場合でも、誰も責任を負うことなく放置されるということはありません。

実は、民法940条に次のような記載があります。

相続放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。

相続する人がいない場合、家庭裁判所の手続で「相続財産管理人」が選任されて、相続財産管理人がその後の手続を進めることになりますが、相続放棄と同時に相続人の管理義務が消滅してしまうと、他の相続人や相続財産管理人が管理をはじめるまでに不都合が生じるので、その間に相続放棄した相続人にも管理義務を課したのがこの条文です。

そのため、相続放棄をしたとしても、他に相続人等がいなければ、結局のところ、管理をせざるを得なくなります。

自分で管理をしなくて済むようにするためには、家庭裁判所に「相続財産管理人の選任の申立」をする必要があります。

(「相続財産管理人の選任の申立」に関する書式は↓こちらになります。)

http://www.courts.go.jp/saiban/syosiki_kazisinpan/syosiki_01_15/index.html

家庭裁判所に、相続財産管理人の選任の申立をすると、一般的に、弁護士が相続財産管理人として選任されて、相続人を探したり、相続財産の清算業務を行って、残った財産は国に引き継ぐことになります。

相続財産管理人の報酬は、基本的に相続財産の中から支払われることになりますが、不足する場合は申立人が支払うことになりますので、その点注意が必要です。

最後に

相続財産に実家等の不動産が無ければ、相続放棄すれば、全く管理責任を負うことはないのですが、上記民法940条の存在により、不動産があると管理義務が継続することになります。

そのような場合でも、相続財産管理人を選任して、すぐに不動産の処分ができればよいのですが、時間がかかって費用もかかってくると、普通に相続して管理していた方がよかったということにもなりかねません。

実家の他に多額の借金がある場合などは、すぐに相続放棄をするということで問題ありませんが、負債がそれほどなく、実家も売り易い場所にあれば、自分が相続人であることを知ってから3か月以内という相続放棄申述の期間を伸長する手続きをして、売却先を探してみてから手続するということも一つの方法だと思います。

(売却先を探す際は、↓こちらもご覧ください。)