空き家対策としても効果を発揮する「既存住宅売買瑕疵保険」とは?

既存住宅の売買における瑕疵担保責任

全国的に問題になっている空き家問題に関連して、既存住宅の流通・活用に向けた取り組みが活発化しております。

既存住宅は、新築住宅に比べて安価であり、実物を見学してから購入できるというメリットがあり、若い世代などに人気があります。

しかし、既存住宅には、それまで住んでいた人でさえ気づかなかった瑕疵が存在するかもしれないというデメリットもあります。

実際に既存住宅を売買する場合には、買主に物件を見学してもらい、売主・買主双方が納得した上で売買契約を結んで引き渡しますが、その後、住宅の基本構造部分等に隠れた瑕疵が見つかった場合には、売主は買主から損害賠償請求される可能性があります。

この隠れた瑕疵に対する損害賠償に対応するために、既存住宅売買瑕疵保険というものが用意されております。

既存住宅売買瑕疵保険とは?

「既存住宅売買瑕疵保険」とは、上記のような既存住宅の隠れた瑕疵に基づく損害を補填するものです。

中古住宅の検査と保証がセットになった保険制度で、住宅専門の保険会社(住宅瑕疵担保責任保険法人)が保険を引き受けます。

既存住宅売買瑕疵保険の概要

  • 保険金の支払い対象:①修補費用 ②調査費用 ③仮住居・転居費用等
  • 保険期間:1年または5年(保険商品によって異なる)
  • 保険金額:500万円または1000万円(保険商品によって異なる)
  • 免責金額:5万円
  • 填補率:100%
  • 保険料:個々の保険法人が設定(保険期間等により異なるが、戸建住宅で5万円程度から)

既存住宅売買瑕疵保険の特徴

この保険には、次のような特徴があります。

既存住宅取引の安心を確保

既存住宅売買瑕疵保険に加入するためには、住宅の基本的な性能について、専門の建築士による検査に合格することが必要です。

これにより、中古住宅購入を検討している方にとって、安心が確認された中古住宅の取得が可能となります。

もしもの時の保証がある

売買後に、取得した中古住宅に欠陥が見つかった場合でも、補修費用等の保険金が事業者(事業者が倒産等の場合には買主)に支払われます。

既存住宅瑕疵保険の検査の概要

この保険に加入するためには、専門の建築士による検査に合格する必要があります

検査は、構造耐力上主要な部分及び雨水の侵入を防止する部分について、目視、計測等により、予め定められた部位の劣化事象等の有無を確認します。検査対象となる全ての部位・劣化事象等に該当がなかった場合に、保険への加入が可能となります

但し、この検査の性質として、瑕疵の有無を判定するものではなく、瑕疵が無いことを保証するものでもありません。引き渡し後に保険対象部位に瑕疵が発見された場合に、保険による保証の対象になるものです。

検査対象

構造耐力上主要な部分(基礎、壁、柱等)及び、雨水の侵入を防止する部分(屋根、外壁等)

※その他、付帯する特約に応じた検査を実施

検査基準における劣化事象等の例(木造戸建の場合)

《構造耐力上主要な部分》・幅0.5㎜以上のひび割れ(基礎)・鉄筋の露出(基礎)・6/1000以上の勾配の傾斜(床)

《雨水の侵入を防止する部分》・雨漏りの跡(天井)・建具周辺の隙間又は著しい開閉不良(外壁)

既存住宅瑕疵保険に加入している中古住宅を購入する方法

この保険に加入している中古物件を探すには、次のような方法があります。

宅建業者が売主の場合

「既存住宅売買宅建業者検索システム」で、既存住宅売買瑕疵保険に加入して住宅を販売する宅建業者を検索できます。

一般の方が売主の場合

「既存住宅検査機関検索システム」で、中古住宅の購入の際に、中古住宅の検査及び保証を行う検査機関を検索して探すことができます。

 

中古住宅の購入を検討されている方は、購入後の安心のためにも、ぜひ上記検索システムを利用して、既存住宅売買瑕疵保険に加入している中古住宅を探してくださいね。