「被災ローン減額制度」の手続の流れ
今年の夏も、異常気象による豪雨や北海道の地震など、自然災害による大きな被害がありました。
現在、住宅ローンを利用している方はもちろん、これから住宅ローンを利用する方にとっても、自然災害は大きな脅威となります。
万が一、災害救助法が適用される災害により、既存の住宅ローンの支払が困難となった場合は、次の流れに沿って「被災ローン減免制度」の利用手続きを進めてください。
手続き着手の申出
住宅ローンを借りている金融機関(複数から借りている場合は最も多額のローンを借りている金融機関)等へ、本制度の手続着手を希望することを申し出ます(受付窓口は、それぞれの金融機関に確認してください)。
金融機関が、借入先、借入残高、年収、資産(預金など)の状況を確認します。
専門家による手続支援を依頼
上記の金融機関等から手続着手について同意が得られた後、地元の弁護士会などを通じて、自然災害被害者債務整理ガイドライン運営機関に対し、「登録支援専門家」による手続支援を依頼します。
「登録支援専門家」は、弁護士、公認会計士、税理士、不動産鑑定士ですが、弁護士以外は一部業務を実施できません。
債務整理(開始)の申出
金融機関等に債務整理を申し出て、申出書のほか、財産目録などの必要書類を提出します(書類作成の際、「登録支援専門家」の支援を受けることができます)。
債務整理の申出後は、債務の返済や督促は一時的に停止されますが、債務者も資産の処分や新たな借り入れが不可となります。
「調停条項案」の作成
登録支援専門家のサポートを受けながら、金融機関等との話し合いを通じて、債務整理の内容を盛り込んだ調停条項案を作成します。
「調停条項案」の提出・説明
調停条項案が出来上がったら、登録支援専門家を経由して、金融機関等へ本制度ガイドラインに適合する「調停条項案」を提出・説明します。
金融機関側は、調停条項案を受け取ってから1か月以内に、同意するか否かを回答します。
特定調停の申立
債務整理の対象にしようとする全ての借入先から同意が得られた場合、簡易裁判所へ特定調停を申し立てます。
この際の申立費用は、債務者の負担となります。
なお、登録支援専門家は、申立書面の作成等の支援はできますが、原則として、特定調停の場に出頭することはできず、債務者本人が出頭する必要があります。
調停条項の確定
特定調停手続により調停条項が確定すれば、債務整理成立となります。
本制度は、平成28年4月1日から運用が始まったものですが、平成30年9月末の時点で920件の手続支援の申し込みがありました。
今後も、いつ災害が発生するか分かりません。
もし、ご自身が災害救助法が適用される自然災害で被害にあったら、この手続きにしたがって、住宅ローンの免除・減額を受けてください。