【住宅ローン問題】住宅ローンが払えない。困った時の法律相談を上手に利用する方法とは?

【住宅ローン問題】住宅ローンが払えない。困った時の法律相談を上手に利用する方法とは?

先日、妻から、知人が住宅ローンが払えなくなってしまったので、どうしたらよいかとの相談を受けました。

その方は、住宅ローンの他にも借金があるようで、全てまとめて法的手続きを検討しているとのことでした。

 

しかし、この手の相談は、状況によって対応方法が全く異なります。

その方の負債や生活の状況を正確に把握しないと、借金整理の方向性すら決められません

なので、まずは詳細をまとめて現状を把握するようにとだけ伝えました。

 

実は、住宅ローンや借金の相談では、この「詳細をまとめて現状を把握する」ことが最も重要になります。

それが終わってから、具体的にどうすればよいか決めていくことになります。

 

今のご時世、いつ何時、収入の状況が変わるか分かりません。

同じような悩みを抱えることになった場合にあわてないように、

住宅ローンが払えなくなった時などにどうすればよいか、まとめてみたいと思います。



【生活状況の確認】本当に払えないか?生活状況を把握する。

まず、住宅ローンや借金を整理するための方法としては、

話し合いで解決する方法(返済方法の変更交渉や任意整理)

法的手続きで解決する方法(自己破産、個人再生)

があります。

 

借金を作った経緯によっても大きく異なりますが、一般的には、

・状況がそれほど深刻でない場合は話し合い

・状況が深刻な場合は法的手続き

での解決を選択することになります。

 

深刻な状況となっている場合でも、自己破産等の法的手続きを裁判所に認めてもらうには、返済困難な状況であること、つまり「借金が払えない状況」であることが条件となります。

 

これは、自分が返済困難だと思うだけでなく、裁判所から客観的に見て返済困難である必要があります

例えば、

・毎日三食すべて外食で食費10万円

・被服費やヘアサロン代で毎月数万円

・一人暮らしなのに3LDKの家賃10万円のマンション住まい

とか、

このような状況では、客観的に見て「借金が払えない状況」であるとはいえません。

浪費であると判断される可能性すらあります。

 

このような場合は、自炊して食費を減らしたり、被服費やヘアサロン代を節約したり、家賃の安いところに引っ越したりして、まずは家計を立て直す努力が必要です。

毎月の家計の状況は、自己破産手続きの際には必ず開示する必要がありますので、今のうちから、家計の状況をしっかり把握しておくことをお勧めします。

【借金の状況確認】借金がいくらあるのかを把握する。

お金を返せなくなってくると、返済のために別のところから借りるようになります。

そして、その返済のために別のところから借入をするというような自転車操業状態へ・・・。

最終的には、自分がどこからいくら借りていて、今いくら残っているのか分からなくなってしまうのです。

 

通常は、契約書や請求書などの書類で負債の状況を把握できます。

しかし、書類を全て捨ててしまった等の理由で分からない場合は、「個人信用情報」を取り寄せて確認することになります。

(「個人信用情報」については、こちらもご覧ください。)

住宅ローン審査の通る・通らないに大きく影響する「信用情報」について

貸金業者や金融機関以外にも、友人や親戚などの個人からの借入や、税金の滞納についても申告が必要です。

自己破産などの法的手続きをする場合には、借入をしている全ての債権者を申告する必要があります。

契約書や請求書などで、早めに把握するようにしておきましょう。

【財産の状況確認】今どのくらい財産があるのか把握する。

段は、手持ち現金や預貯金しか気にしていないと思います。

しかし、会社員の方であれば、退職金(総額の8分の1が対象)や、持株会積立金などがある場合もありますし(給与明細の控除の欄を見ると分かります)、生命保険や学資保険などの解約返戻金株などの有価証券なども、財産として申告が必要になります。

 

また、身内が亡くなって相続が発生し、自分が相続人となっている場合は注意が必要です。

例えば、実際に受け取っていなくても、実家の土地・建物が共有となって持分がある場合には、その持分の価値も財産として申告する必要があります。

実際、相続が絡む案件はよくありますが、ほとんどの場合、遺産分割等の手続をしておりません。

そのため、自分の財産であるという認識が無く、相談の際に申告しないため、後で問題になってしまうのです。

 

家や土地を持っている方は、その価値によっては手続きが複雑になる場合もあります。

車の場合、初年度登録から6年以上経過していれば無価値とみなされるので、査定書は不要ですが、6年未満の場合は、買取業者などで査定書を書いてもらう必要があります。

家や土地などの不動産を持っている場合は、必ず不動産業者で査定書を書いてもらう必要があります。

但し、その査定額と比べて、住宅ローンの残りが1.5倍以上ある場合には、オーバーローンということで、破産手続きでは処分されない場合もあります。

これらの財産をトータルに見て、借金整理の方針を決めることになります。

そのため、財産をできるだけ正確に把握しておくことが、相談をスムーズに進めるためには必要となります。

【書類を集める】相談を有効かつスムーズに進めるため、必要な書類を集める。

借金整理について相談に行く場合、上記の【生活状況】【借金の状況】【財産の状況】をまとめた書類を用意しておくと、弁護士なども様々な判断がしやすくなり、相談が非常にスムーズに進みます。

住宅ローンがある場合には、この他に次の書類を用意しておくことをお勧めします。

不動産登記事項証明書(いわゆる登記簿謄本)・・・法務局で取得

固定資産評価証明書・・・市役所で取得

住宅ローンの契約書(金銭消費貸借契約書)

保証委託契約書(保証会社がついている場合)

返済予定表

簡易査定書・・・不動産会社にお願いする

 

住宅ローンをはじめ、借金問題を適切に整理するためには、専門の知識が必要になります。

借金問題は必ず解決できますので、返済が厳しくなったら、一人で悩まずに専門家に相談することをお勧めします。