シニア世代が直面する「住みかえ問題」の選択肢

高齢者の住みかえの選択肢

高齢化が進む中、老後を安心して快適に暮らせるように、「住みかえ」を考える高齢者が増えております。

「住みかえ」を検討する理由は様々ですが、次のような理由が挙げられます。

  • 今の家が古くなった
  • 子供が独立して広い家が不要になった
  • 今の家は買い物等生活が不便だから
  • 子供と同居・近居したい
  • 故郷に帰りたい
  • 田舎でのんびり暮らしたい
  • 仕事以外のやりたいことをやるため
  • 親の家を相続したので誰かに貸して自分たちは住みかえたい 等

上記のような理由により住みかえを検討するようになりますが、実際に住みかえをする場合には ①住みかえ先を新たに購入する ②賃貸住宅を借りる ③高齢者施設等へ入所する の中から選択することになります。

この①から③について、それぞれメリット・デメリットを見ていきたいと思います。

住みかえ先を新たに購入する場合

住みかえ先を新たに購入するケースとして、まったく新たに購入する場合と、一戸建ての家を売却して安全性・利便性の高いマンションを購入する等の買い替えが考えられます。

いずれの場合も、元気であれば最も自由に暮らせる可能性が高くなりますので、元気なうちは、周りに気兼ねすることなく暮らしたいというニーズを満たすことができる暮らし方です。

しかし、体力が落ちて日常生活に不安が出てくると、将来の介護の必要性等により、さらなる住みかえの可能性が最も高くなります。

メリット

  • 元気であれば最も自由に暮らせる可能性が高い
  • 持ち家という安心感が得られる
  • 適度な広さ、交通の便といった住環境の充実を自分自身の選択で図ることができる

デメリット

  • 新たに購入する場合、まとまった資金が必要でローン等の負担が増える
  • 買い替えの場合、旧住居の売却がスムーズに進むかという問題がある
  • さらなる住みかえの際、同様の売却等の問題が再び起こる可能性がある
  • メンテナンスや固定資産税等のコストと管理の手間が発生する

新たに賃貸住宅を借りる場合

賃貸住宅を借りるケースとして、一般の賃貸住宅を選ぶ場合と、高齢者向けの賃貸住宅を借りる場合が考えられます。

一般の賃貸の場合、自由度は最も高くなっています。新たに購入する場合と同様、適度な広さ・交通の便といった住環境の充実を自分自身の選択で図ることができます。

但し、心身の不安が出てきた場合、さらなる住みかえが生じる可能性が、賃貸の中では最も高くなります。

高齢者向け賃貸の場合、手厚いサービスが提供される高齢者施設に近いもの、バリアフリーや緊急時の連携サービスは備わっているが個人の生活を重視するもの、あるいはその中間的なものとバリエーションが広く、それによってその後のケースが変わってきます。

メリット

  • 購入や施設入所に比べて、初期費用が安い
  • 賃貸借契約であるため居住者の権利が保障され、正当な事由が無い限り退去や更新拒絶されない
  • 自治体から家賃補助を受けられる場合がある
  • 高齢者向け賃貸の場合、自由さと共にある程度の安心した生活が確保できる
  • 介護や食事サービスは基本的に別契約なので、必要なサービスを自分で選べる

デメリット

  • 家賃等の負担が続く
  • 一般の賃貸の場合、高齢者の入居を歓迎しないところもある
  • さらなる住みかえを行う可能性が高い
  • 一戸建ての持ち家から賃貸に住みかえる場合、近所づきあい・近隣上下の部屋の騒音等の問題が発生する可能性がある

高齢者施設等へ入所する場合

介護状態になった場合には、安心してサービスを受けられる環境が必要です。

高齢者施設等へ入所する場合、どのタイミングで行うかが非常に重要で、自由さと早めの準備の安心感とを、慎重に比較検討して決定する必要があります。

元気なうちから入所できる施設は多様ですが、重度介護まで可能な住まいは、原則、有料老人ホームだけであり、それ以外は生活全般に介助が必要になれば、再度介護施設への住みかえが必要となります。

メリット

  • 状態に応じた施設へ入所することで、自宅や賃貸住宅と比べて、安心・安全な生活ができる
  • 一般的に、ケアハウスの場合、利用料が低廉である

デメリット

  • 施設によっては、再度の住みかえが必要となる
  • 重度介護まで入所が可能な施設は、終の棲家となる可能性が高いので、チェックポイントは多岐にわたり、慎重な判断が求められる

 

上記のとおり、それぞれメリット・デメリットがあります。

長い老後の人生を自分らしく快適に暮らすために、元気なうちに比較検討しておきましょう。