住宅ローンの選び方①

住宅展示場を見に行く前の資金計画の重要性

新築分譲の広告を見たり、街角展示場や完成現場見学会、住宅展示場の広告を見ると心躍りますよね。

私はマイホームを建ててから10年以上経ちますが、いまだに新築住宅の広告を見るのは楽しいです。間取りやインテリア等、想像しているとあっという間に時間が過ぎてしまいます。おそらく、これから家を建てる皆さんも、一番関心があるのは、家の間取りやインテリア等ではないでしょうか?

そして、夢が膨らみ、とりあえず見に行くだけ行ってみようと思い住宅展示場へ。そこには、最新の設備を備えたキッチン、素敵に飾られたリビング、書斎スペースがある広い寝室、ミストサウナがついたお風呂、広いバルコニーや屋上庭園 etc… 夢のような理想の家が目の前に広がっています。

「ちょっと頑張れば住めますよ。」 営業さんの一言でちょっとその気になり、まだ買う気はないけど、とりあえず間取りの作成を依頼。そして、自分たちの理想が全て詰め込まれ、自分たちのためだけに作られた間取りが完成。その図面を見ながらいろいろ説明を受けると・・・ もう、その家を手に入れることで頭がいっぱいになってしまいます。

概算で返済のシミュレーションをしてもらうと、自己資金がほとんど無くても、夫婦の収入を合算すれば、なんとか『借りられそう』な金額で、毎月の返済額も生活費を切り詰めて『頑張れば』返済できそう。・・・そうなると、もうその家を『購入することだけ』を考えるようになり、その他のことは『頑張ればなんとかなるでしょう』と考えるように・・・。そして勢いで購入。これで、住宅展示場で見たような素敵な家での生活が始まる・・・ はずだったのに・・・。

実際に引き渡しを受けて生活が始まると、思い描いていたものと違うことが次々と出てきます。

引き渡された家の中には、素敵な家具も、おしゃれな食器も、最新の電化製品もありません。リビングから外を見ても、きれいなテラスも、青々とした芝生も、シンボルツリーもありません。そう、引き渡されるのは、住宅展示場で見たような素敵に飾られた家ではなく、出来たてのきれいな『箱』だけなのです。

新しい家にふさわしい家具や電化製品を買いたいし、お庭もおしゃれに工事したい。でも、余裕が無いので、アパート時代の家具や電化製品を使い、庭もそのまま。余裕が出たら少しずつと思っていても、生活を切り詰めることが前提で組んだ住宅ローンの負担が大きく、いつまで経っても余裕は出ない。そして、理想とは程遠い生活でストレスばかり溜まり、いつしか『この家さえなければ・・・』と手放すことに・・・。

大袈裟に感じるかもしれませんが、法律事務所にいると、実際にこのように無計画で購入したため返済困難に陥り、自己破産や個人再生の相談に来る方がたくさんいらっしゃいます。このようにならないためには、

「借りられる」額ではなく『返せる』額

「頑張れば」返済できる額ではなく『無理なく』返済できる額

の住宅ローンにすることが重要です。

そのためには、まず、自己資金や毎月の家計の状況を把握し、今後の生活、家具や電化製品の予算も検討した上で、月々無理なく返済していける住宅ローンの額を知る必要があります。

このように、先に資金計画をしておくことが、本当に理想の生活を手に入れるためには重要となります。焦る気持ちはよく分かりますが、将来の幸せのために、まずは自分たちに無理のない資金計画を立ててみてください。